【後編】今更だけど、なんでソシャゲってみんな似たりよったりなのか考えてみる
合成から始まるソシャゲの原則
というわけで前回の続きです。ソシャゲを事業として成立させるためには毎月2000万円の売上が必要で、それにはガチャを入れるしかないねってところまで話は進みました。
ゲームプランナーであるあなたは世の中にあるソシャゲ同様、ガチャを入れることを決めます。この瞬間、あなたが作ろうとしているゲームには”合成”と”属性”の要素が必ず入るようになってしまいます。逆に言うと、”合成”と”属性”の要素が入っていないゲームでは”ガチャ”が成立しません。そしてこれこそが、世の中のソシャゲが全て似たり寄ったりになってしまっている原因でもあります。
ちょっと詳しく見て行きましょう。
”ガチャ”を入れた瞬間、”合成”が必須になる
そもそもガチャはどうして収益性が高いのでしょうか。射幸性を煽る〜とかレア度が低いから〜とか色々ありますが、ここでは「ガチャはユーザーの意図通りではなく、ランダムでカードが排出されるから」ということに注目したいと思います。
欲しいレアカードがピンポイントで購入できるのであれば、それはもうガチャではありませんよね。ランダムでカードが排出されるガチャだから、不要なゴミカードや同じカードが複数当たってしまうダブリが存在するのです。
ユーザーにお金を払ってガチャを回してもらった以上、ゴミカードやダブリのカードが当たった人に対して「あ、ハズレっすねwww残念wwwまた次のガチャを回してねwwww」というゲームはこの世の中に存在しません。そんなゲーム、誰も課金しなくなりますからね。
どんなゴミカードやダブリカードにも必ず使い道を用意する必要があり、そのシステムとして”合成”というのは”ガチャ”を実装したソシャゲには必要不可欠な存在となっているのです。ゴミカードは経験値素材として活用できますし、ダブリカードはいわゆる”進化”や”限界突破”の要素として活用されていますね。
というわけで、ソシャゲにはガチャの実装を決めた瞬間に合成が入ることも自動的に決定されます。次は”属性”について見て行きましょう。
”ガチャ”を入れた瞬間、”属性”も必ず必要になる
さて、ランダムでカードが排出されるガチャですが、これには何種類のカードが必要になるでしょう。いくらランダムでカードが出るからといっても、「全5種類のカードの中からどれか当たるよ!」なんていうガチャは存在しません。一般的にカードのレアリティを5段階に設定した場合、ガチャで当たるカードの総数は少なくとも50種類以上はないと同じゴミカードやダブリばかり発生してしまい、ガチャとして面白みが存在しないのです。(50種類というのは適当。もちろん、この数字は多いに超したことないです)
というわけで、ガチャを成立させるために50種類のカードを作って攻撃力などのパラメーターを設定するわけなんですが、「攻撃力100」のカードと「攻撃力1000」のカードが存在した場合、明らかに前者はゴミカードとして存在することになります。この数字の大小だけで50種類のカードにそれぞれ個性のあったパラメーターを付けるのは至難の技……っていうか無理です。「レアリティURのキャラが攻撃力1000で、SRのキャラが900で〜」とか付けるしかないんですが、どれもこれも代わり映えしません。
ところが「攻撃力100の火属性カード」や「攻撃力100の水属性カード」と設定するとどうでしょう。数字だけで能力を設定して時よりも格段にカードのパラメーターに個性が付けやすくなるのが分かると思います。
ガチャを成立させるためには、それなりに多くの種類のカードが必要となり、そのためには”属性”が必ず必要になってしまうのです。
ほかのゲームとの差別化をどうやって作るか
さてさて、ガチャの実装を決めたあで合成と属性の要素が入ってしまうところまで来たわけですが、ゲームの骨組みが大きく決まってしまったこの現状で、どうやって他社のゲームと差別化を図れば良いのでしょうか。
僕はここ数ヶ月、50本近いソシャゲを遊んできましたが正直どれもこれも似たり寄ったりでなんにも変わらないなぁという印象を受けてしまいました。画面をタップしたりスワイプしたり、パズルしたり引っ張ったり色々しましたが、結局どのソシャゲもガチャ、合成、属性の鎖から逃れられないでいます。根本のゲームシステムで差別化を図るのが難しいと理解しているからこそ、ストーリーやイラストにお金をかけたり有名声優を起用するなど、ゲームシステム以外の”オモテ側”の部分をアピールしてプロモーションしているのです。
僕も実際にゲームを作ってこの原則から逃れることができなかった人間なので、昨今のソシャゲに対してエラそうな事は何一つ言えません。ただ一人のゲームファンとして「どうにかなんねぇかなぁ、この状況は」とモヤモヤしています。
そして家庭用ゲームから離れて無料のソシャゲしか遊ばなくなってしまった人たちが「ゲームってどれもこれも同じでツマランな」と感じて、ゲーム人口が減ってしまうのも嫌だなーなんて思っています。みんな同じに見えるのは一部のゲームだけです。有料のゲームは今回紹介した原則の”ガチャ”を入れる必要がないので、ソシャゲとは比較にならないほど自由に作られています。
ゲームが無料である限り、この原則からは逃れられないのかなぁ…。この閉塞感を打ち破る新しいゲームが出ることを期待して、今日も僕はゴロゴロと寝転がりながらゲームを遊ぶことにします。長文へのおつきあい、ありがとうございました。
ゴ〜ロゴロ。
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