ツボ錬金とアストルティアドリーム!


さて、約二ヶ月程更新が滞っていたのだけれど実はその期間中も地道に続けていたことがある。タイトルからお察しの通り、ツボ錬金を本格的に始めてみたのだ。

簡単に説明しておこう。ドラクエ10には『職人』というものが存在し、各プレイヤーは様々な装備品や道具を作ることができる。その種類は様々で、武器や防具を作ることができる武器職人や防具職人、服等を縫うことができる裁縫職人、装備品に特殊な効果を付与することができるランプ職人とツボ職人、最後に職人が使う道具そのもの(武器や防具職人ならハンマーといった具合)を作ることができる道具職人と、現在は合計6種類から選ぶことができる。

序盤は複数の職人を掛け持ちできるものの、職人レベルが上がるとどれか1種類に絞らなければ次のステップに進むことができない。これは中々厳しいシステムなわけで、冒険者は各々どの職業を選ぶか非常に頭を悩ますことになる。

僕もその例に漏れず散々悩んだ末、ツボ職人をやろうという結論に達した。ツボ職人は武器であれば攻撃力を高めたり、防具であれば防御力を高めたりすることができる職人だ。

ツボ職人の特徴としてギャンブル性が非常に高いことが挙げられる。ツボ職人は元となる武器や防具と必要なアイテムをツボに入れた後、「イ~ヒッヒッヒ!イイ~ヒッヒッヒ!」と怪しげな薬を作る老魔女の様な動きでルーレットを回すことになる。このルーレットによってツボ錬金の結果が決定され、「大成功」と判定されると基準値以上の高い効果が付いたり、逆に「失敗」となると基準値以下のとても低い効果が武器に付与されるのだ。

当然、高い効果がたくさん付いたアイテムは非常に強力で、高値で売れたり自分で装備しても優れた力を発揮してくれる。反面、ルーレットの結果に恵まれずに失敗効果ばかりが付くとアイテムの価値は著しく低下し、大抵はアイテムの仕入れ価格をカバーできずに赤字錬金となってしまう。

そして稀にルーレットの結果には「パルプンテ」というものがある。ドラクエファンにはお馴染だけれど「パルプンテ」が発動すると想定外の様々な効果が強制的に付与される。良い効果や微妙な効果が色々あるのだけれど、その中でも滅多に出現しない「レアドロップ率」という効果は大変貴重なもので、多くのツボ職人が「レアドロップ率」を求めて日夜ツボにアイテムを突っ込み、「イ~ヒッヒッヒ!イイ~ヒッヒッヒ!」と怪しげに両手をワサワサと動かしているのである。

この「レアドロップ率」、どれほどの価値を持っているかというと(その時の相場にもよるけれど)他の冒険者から1,000Gで仕入れた皮の手袋にこの効果が付くだけで、約200,000G前後もの価値で取引されるのだから驚きだ。ちなみにドラクエ10の世界は1匹のモンスターを倒して得られるお金はせいぜい10G前後といったところか。多いモンスターでも30G程度しか得られない。もっと言うと僕の全財産は140,000Gといった所なわけで、僕が毎日コツコツと貯めてきたお金以上の価値が「レアドロップ率」にはあるのだ。

うーん、アメリカンドリーム! いや、アストルティアドリームとでもいうべき?

とにもかくにも、ビビリな性格でありながら一攫千金が大好きな僕が、こんなギャンブル性の高い職人を見逃すはずがない。先日発売したばかりのロト7はカスリもせずにハズレで終わったが、ドラクエ10のツボ錬金なら話は別である。

むしろロト7でハズレたのだから運気はツボ錬金へと向いているのかもしれない。きっと神様は見ていてくれるはず。お願い神様! 僕はここだよ! 僕はここにいるよ!
そう念じながら今日もツボ錬金に励むわけである。イ~ヒッヒッヒ!イイ~ヒッヒッヒ!

そんなわけでその日も僕はツボ錬金に夢中になっていた。気付くとツボ職人としてのレベルは33になっている。現時点での職人レベルの最大値は35であり、つまりなんだかんだ僕はツボ職人としてはそれなりの高いレベルを持っているわけで学校のテストでは85点程を取れる優等生、TOEICでは750点前後みたいな立場である。Z戦士でいえばセル編のトランクスぐらいか? いや、この例えは良く分からないからやめておこう。

僕はとりあえず街のバザーに駆けこんで、「皮の手袋」をめいっぱい注文した。これは「レアドロップ率」を付与する元になるアイテムとなる。元素材の仕入れみたいなものだ。中々の出費ではあるが、成功には何事も投資が必要なのだ。

「・・・お客さんもレアドロップ率狙いですか?」
バザーの窓口を担当しているお姉さんがニヤニヤしながら話しかけてくる。

「今度こそレアドロップ、引き当てて見せますよ!」
僕は両手で「皮の手袋」を受取りながら、元気良く答えた。

「当たると良いですね~、頑張ってください~」

お姉さんはそう、笑顔を見せてくれる。けれどなんとなくそのお姉さんから、ロト7とかスクラッチクジを売っている宝くじ売り場のおばちゃん特有のあの、(当たるとイイネ!)といった感情と(当たるわけないのにこんなに買っちゃって・・ププッ)なんていう感情が絶妙のバランスで混ざり合って接してくる雰囲気を感じたのは、僕の思い込みが激しすぎるだけだろうか。

さて、いよいよツボ錬金の時間だ。僕は大事な仕事道具となるツボをよっこらせと地面に置き呼吸を整える。ツボの中に先ほど大量に買い込んだ「皮の手袋」を入れ、他にも必要なアイテムを突っ込み、パラパラと仕上げの粉を振りかけた。するとツボの中が怪しく光り出し、不思議な力でアイテムが錬金されていく。ここで掛け声を忘れてはならない。イ~ヒッヒッヒ!イイ~ヒッヒッヒ!

ところが上手くいかないのが世の常である。なにしろ「レアドロップ率」を出現させるのに必要な「パルプンテ」すら中々発生しないのだ。先ほど仕入れた大量の「皮の手袋」は残念ながら、僕が望まないあんな効果やこんな効果が次々と付与され元素材としての役目を終えていった。平たく言うと数々のツボ錬金は全て失敗に終わった。

僕はしょんぼりしながら、先ほど仕入れた「皮の手袋」を全てバザーに持っていく。「レアドロップ率」が付与されなかった錬金失敗品とはいえ、防具としての価値なら問題無く残っている。決して高い値が付くわけではないけれど、少額でも買ってくれる人がいるならば是非売り払っておきたいものだ。

僕の姿を見つけた先ほどのバザー窓口のお姉さんが声をかけてくる。

「いらっしゃいませー。早かったですねー、レアドロップ率は付きましたか?」
「・・・僕の顔を見たら分かるじゃないですか。失敗しましたよ。あ、出品したいんですけどもー」

もちろん実際のゲーム内でこんな会話が繰り広げられるわけじゃあないけれど、もしそこに会話が存在するのならこんな感じだろうか。きっとお姉さんも毎日大量のアイテムを取り扱って疲れているのかもしれない。

いつか「レアドロップ率」の錬金に成功して、アストルティアドリームを実現してみたいものだなあ。

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本職はゲームライター。お仕事とは別に、個人の趣味でゲームの話題に触れていくブログ「その日草子」を運営中。大作RPGから格ゲー、ギャルゲーまでジャンルを問わないアラサー♂。けどホラーだけは苦手。お気に召した記事やお役に立てた記事があればシェア頂けると喜びます(・ω・)
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