父親の背中。


幸いなことに僕の両親はどちらも健在であり、今の所大きな病気もない。
昨年には僕の弟も大学を卒業し、ようやく子育ても一応の一区切りがついた。

先日両親に、「子育てから解放された気分はどうだい?」と聞いてみたところ、
彼らは声を大にして、「この瞬間をずっと待っていた!」と答えた。
思わず僕も笑いながら「ですよねー」と返す。

両親には頭が上がらない。感謝してもしきれない。
よくもまあ20年以上も子育てしてくれたものである。
加えて、先日もお米やお菓子を送ってきてくれた。
ありがたい話である。

ドラクエ5の主人公にとって、パパスは間違いなく偉大な父親だった。

道中、遭遇したモンスターを全て一撃で倒してしまう程に強かった。
人望も厚く、人々はパパスに会えば誰もが親しみの笑顔を見せた。

口髭が渋く、勇猛な体付きのくせに心配性な一面もあり、
何かあると過保護と思えるほど、主人公にホイミをかけてくれた。

パパスは幼少期の主人公にとって、最も力強く、尊敬できる、
そしてなによりも優しい人物であった。

唯一、トンヌラっていうネーミングセンスは弱点かもしれないけれと、
それぐらい愛嬌だ。完璧な人なんて存在しないさ。

「ぬわーーーーーー!!」

主人公を人質に取られ、パパスはモンスターに
一切の抵抗が許されないまま殺されてしまった。

当時ドラクエ5を初プレイしていた僕はあまりの展開に言葉を失った。

ゲームだとわかっているのに無性に悲しくなり、
自分の両親は大丈夫かと、ゲームがある二階の部屋から居間に駆け下りたことがある。

あのときの不安なドキドキは今もちゃんと覚えている。
たぶんその頃から、両親がいつまでも生きてはいないことを自覚したんだと思う。

さようならパパス。あなたの背中の大きさ、忘れない。

ここで主人公の幼年期は終わりを迎える。
モンスターに捕らわれた主人公は謎の宗教集団に送られ、奴隷として生きていく。

そして、10年の月日が流れるのである。

結婚を機にドラクエ5を再プレイしてみた 目次へ

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洋菓子

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本職はゲームライター。お仕事とは別に、個人の趣味でゲームの話題に触れていくブログ「その日草子」を運営中。大作RPGから格ゲー、ギャルゲーまでジャンルを問わないアラサー♂。けどホラーだけは苦手。お気に召した記事やお役に立てた記事があればシェア頂けると喜びます(・ω・)
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