親友の結婚式


「ドラクエの呪文で実際に使いたい呪文はなに?」

たびたびゲーム好き同士で話に上がるのがこの話題だ。

疲労回復にはホイミ。
睡眠に関する悩みを解決してくれそうなラリホーやザメハ。
特にサバイバル生活に役立ちそうなメラ。
恐怖、おかんがアバカム。

色々出てくるけれど、やはり一番使いたい呪文はルーラだろう。

ドラえもんの秘密道具でも一番人気はどこでもドアだ。
やはり瞬間移動というのはあれば便利だろうなあ。
なんてことを仕事帰り、ギュウギュウの山手線に乗りながら考える。

最寄り駅までまだ少し。
ルーラがあれば、こんな満員電車に乗らなくても良いのになあ。

道中、大きな滝を横切ったりして主人公の旅は続く。
やがてルラフェンという街に辿り着いた。

遠くに、妙な煙を吐いている家が見えた。
火事かなと身構えたが、煙は屋根の大きな煙突から出ており火事ではなさそうだ。

近くの人に尋ねると、

「変なじーさんが住んでいて、いつも変な実験をしてるらしく、煙が物凄いんだ」

と迷惑そうな顔で答えてくれた。
ドラクエにもご近所トラブルはあるんだなあ。

さて、このルラフェンという街は、やけに通路が入り組んでいる。
先程の煙の家に行きたいのに、行けども行けども行き止まり。
他の旅人も一様に道に迷っているようだった。

グルグルと街を見渡し、ようやく死角となっていた小道を発見。
そこらへんの小さな洞窟以上に迷ってしまった。

ようやく「変なじーさん」とやらにあうことができた。
聞けばこのじーさん、古代に存在した幻の呪文、ルーラを復活させる研究を行っているとか。

凄いじーさんじゃないか!
思わずテンションが上がってしまう。

主人公の協力もあり、無事ルーラを覚えることができた。
実は先程から行きたかった場所がある。

散々ルラフェンの街中で迷っていた頃、とある女性がこんなことを言っていた。

「ラインハットの王族が盛大な結婚式を挙げたそうですよ。
さぞ大層な結婚式だったのでしょうね」

ラインハットで結婚しそうな男、僕には心当たりがある。

お調子者な所があるけど、根はしっかりしてて、御飯への理解が深い奴。
10年間、辛い奴隷生活を一緒に耐えた、唯一無二の大親友。

「ルーラ!」

僕は覚えたてのルーラを早口で唱えた。
画面が暗転して、読み込む時間すら待ち遠しい。

友人の結婚というのはこんなにも喜ばしいことなのか。
そしてそんな気持ちになった、自分自身にも驚く。

ルーラの行き先はもちろん、ラインハット!

結婚を機にドラクエ5を再プレイしてみた 目次へ

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洋菓子

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本職はゲームライター。お仕事とは別に、個人の趣味でゲームの話題に触れていくブログ「その日草子」を運営中。大作RPGから格ゲー、ギャルゲーまでジャンルを問わないアラサー♂。けどホラーだけは苦手。お気に召した記事やお役に立てた記事があればシェア頂けると喜びます(・ω・)
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