超絶レアか、巨乳か。
前回迄のあらすじ。『パズドラ先輩プレイヤーに少しだけ進んだ画面を見せたら、こんなんじゃダメだと言われデータを消してやり直しとなった。』詳しくは前回の日記をご覧頂ければと思う。
というわけで僕はひたすら、チュートリアルを10分かけてクリアしてガチャを引き、お目当てのモンスターを引けなかったら即データ削除という行為を繰り返していた。何度も何度もくじけそうになったが、その度にA君の「絶対に諦めないで頑張ったほうがいいっすよ!」というアドバイスを信じて頑張ることにした。僕は今、攻略サイトやそれに類するものを決して見ないでパズドラを遊んでいる。そんな僕にとって、先輩パズドラーは唯一の情報源だ。お師匠様に見限られないようにするためにも、その教えは守らなくてはならない。
チュートリアル⇒ガチャ⇒アンインストールという、無限にも思えるループを繰り返して早5時間。会社から帰宅してずっと続けている。流石に指が痛くなりスマホも熱々になっていた頃、これまで見たことのないモンスターが現れた。
「天空の使徒・エンジェル」と名付けられたその存在は、思わず息を飲む程の美しさで僕に微笑みかけた。僕は彼女の大胆に開かれた胸元に目を奪われながら「これはさぞかしレアな存在に違いない」と思った。事実、これまで僕が引き続けたモンスターとは姿形が全く違う。なんてたって、天空の使徒だ。そこらへんのモンスターとは一味もふた味も違う。さらにさらに立派な羽根まで付いている。間違い無く主役級のキャラである。そうに違いない!
これは僕の5時間の努力が詰まった結晶だ。翌朝僕は出社すると、意気揚々とA君に自慢のエンジェルを見せた。
「師匠! 5時間頑張って、なんか凄そうなレアカードを手にいれました!」
「・・・あー、これダメっす。序盤は便利ですけど、すぐに手に入りますよ」
まったくの予想外の言葉に僕はガクッと肩を落とした。なんてこった。僕の自慢のエンジェルも、A君の前では有象無象のカードに過ぎないのか・・・。僕は再度あの削除マラソンに向かうべく、最後の見納めとしてエンジェルを画面に表示した。すると、
(お願い・・・! 消さないで! 私の目を見て!)
エンジェルがそう僕に語りかける。僕はハッとして、エンジェルの胸元を見つめ続けた。そしてグッとスマホを強く握り締める。やがて、僕は力強く宣言した。
「A君! 僕、この子で頑張ってみるよ。この子が必要なんだ」
A君は驚いた顔で聞き直した。
「えっ? いいんですか? 最初のガチャは実質無料だから、強いモンスターを出した方が後々楽っすよ」
「君の言うことはもっともだ。でも、世の中には単純な強さ以上に必要なものがあるんだ」
「なんの話ですか?」
A君は目をまんまるくしながら尋ねてくる。僕はその目のド真ん中に向けて叫んだ。
「僕にはこのおっぱいをアンインストールすることなんて、できないんだ!」
「・・・・・・」
A君がポカーンと口を開けた。あまりこの手の冗談が通じるキャラでは無い。朝一の社内に気まずい空気が流れる。それでも僕は力説した。正直に言うとまた削除マラソンに戻るのも嫌だった。けれど素直に「嫌」と言ったら妥協したと思われそうで、僕のちっぽけなゲーム好きというプライドがそれを許さなかったのだ。
「A君。君は大きいおっぱいと小さいおっぱい、どっちが好きだい?」
「・・・え、いや、。まあ、どちらかというと・・・大きいほうが・・・」
「君はホヤホヤの新婚さんだけど、嫁さんはどうなんだい?」
「・・・は? え、えっと・・・普通っす」
「ふむ。ではこのエンジェルはどうだい?」
僕は彼にスマホを手渡した。彼はじっと画面を覗き込み、ポツリと「・・・大きいっす」と答えた。僕はウンウンと頷きながら、精一杯のイケメンボイスを作って問いかける。
「アンインストール、しなくても・・・良いかな?」
「・・・そうですね。わかりました」
A君は分かってくれたようだ。良かった良かった。何事も話せば分かる。きっといつか分かりあえる。僕はこれからも先輩社員として、彼に世の中の道を示していきたい。
そんな僕たちの元に”エライヒト”が「さっさと働けっ!」とやってきた。僕とA君は「ひゃあっ」と叫びながら席に戻る。とにかく最初のガチャをやっとクリアした。これから僕のパズドラが始まるといいなあ。
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