転校生がゲームで助けられた話
ゲームで友達ができるということ
「ポケットモンスターサン」と「ポケットモンスタームーン」のプロモーションムービーが昨日公開された。主人公はハワイの学校に転校することになった少年。知らない土地、慣れない言語に戸惑い周囲と馴染めない状況が続いていたが、ポケモンをきっかけに友達が出来たよという内容になっている。
そういえば僕も転校生だった。親の都合で転々として、3つの小学校を経験している。新しいクラスに入る度に「初めまして」をするわけだけど、最初の挨拶でクラス中をドッと笑わせてその日から人気者というわけにはいかない。多くの人がそうするように僕も無難に挨拶を済ませていた。
転校生が辛くなるのは2日目からだと僕は思う。初日はいいのだ。珍しい存在だから周りから話しかけてくれる。「どこから来たの?」とか「好きな食べ物は?」とかそんな話題だけでやっていける。世話好きな子が「学校を案内してあげる」とかしてくれるから間が持つ。問題は2日目からだ。
転校生補整が急激に薄れていく2日目以降、周囲の子たちは皆日常に戻っていく。ところが転校生である僕には、そこに日常は無い。まず、誰に話しかけていいか分からない。話しかけたとしても、その子が何が好きで何が嫌いか分からない。分からないから話さない。だからますます分からなくなる。抜け出せなくなる。典型的な馴染めない転校生の出来上がりだ。
誰とも話さない休み時間の10分は長い。僕は新しく買い直した教科書をパラパラと読みながら時間を潰していた。そんな時だった。後ろから聞き慣れた単語が聞こえてきたのは。
「マリカー買ったんだけど、ロケットダッシュってどうやんの?」
「なんか、進むボタンを押してると出る。兄ちゃんがたまにやってる」
「でも押してるとなんかタイヤから煙出て進めないんだよ」
スーファミのマリカーの話題だ。ロケットダッシュなら僕でも出来る。よくミスるけどさ。確か1つ目のシグナル音がポイントだったはずだ。思わず口が開いた。
「スタートする時の最初の信号の合図が終わったら押すといいよ」
「え? マジ? それだけ?」
「難しいけど、それでビューンってなる」
「ちょっと今日、やってみせてよ」
そんな会話があって放課後、彼の家で僕はコントローラーを握った。3回に1回成功するかどうかの酷いテクニックだったけれど、ロケットダッシュが成功する度に歓声が上がった。そんなことがただひたすら楽しかった。
翌日、僕にも日常が生まれた。なんの遠慮も気兼ねもなく「おはよう」と挨拶できることがどんなに嬉しいか。社会人の「おはようございます」は息苦しい。友達への「おはよう」はそれよりもっと軽やかでしょう? あの時僕は間違いなく、ゲームに助けられた。
大人になってもそれは変わらない。転職すれば周囲はみんな”初めまして”の世界だ。さすがにいい年だから最初の挨拶で「趣味はスト5です! かりんの最速天弧が安定しないのでどなたかコツを教えてください! 宜しくお願いします!」みたいなことはしないけれど、ゲーム好きの同僚がいないかしばらくは探す日々を送ることだろう。
しかし、ポケモンも進化したなぁー。こんなの見せられたら、また遊びたくなってしまう。
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