田舎者丸出しで駆け抜ける日々
途中、ひょんなことから妖精の国に立ち寄り、春を呼ぶお手伝いをした。
なんでも妖精の女王様が春風のフルートを吹くことで、春がやってくるらしい。
その話を聞いて、素直に綺麗だなあと思った。
僕はフルートなんて吹いたことないけど、
確かに春風にはフルートが一番ピッタリな楽器に思える。
よいしょ、よいしょ。主人公の冒険は続いていく。
やがてパパスと共にラインハルトという国に辿り着いた。
ラインハルトはこれまで立ち寄ったサンタローズやアルカパといった村とは異なり、
大きな大きな王国である。なんとなく通りを歩く人の数も多い。
僕は王国の真ん中に位置する城へと足を進めた。
するとシリーズ恒例の、勇ましい金管楽器のテーマが流れてくる。
今回のドラクエ5再プレイで、初めて流れてきた城のBGMだ。
自然とテンションが上がっていく。
どう見ても、都会に出てきたばかりの田舎者丸出しである。
僕は就職を機に東京へ上京している。
初めてJR新宿駅に降りた時は、その余りの人混みにビックリした。
比喩表現でも、誇張でも無い。
前後左右あらゆる方向から、数え切れない程の人が歩いてくるのだ。
完全に道に迷ってしまうのだけれど、後ろからも人が大勢来ているし、
立ち止まるわけにも行かない。そして更に迷子になっていくのだ。
特に上京当初は、東口改札と西口改札の行き来が出来なくて涙目になった。
今でこそ慣れたけど当時は、「僕は本当に東京で暮らしていけるかなあ」
なんて不安になったものだ。
あ、でも初めての一人暮らしをするにあたり、
「これでゲームやり放題じゃーん!」とワクワクしてました。ウヒヒ。
ラインハット城内で、ひねくれ者として有名なヘンリー王子に会う。
主人公のことを上から目線で「子分にしてやろう」なんて言ってくる嫌な奴だ。
ところが第一印象の悪かったヘンリー王子も、昔は良い子だったらしい。
お城の台所のおばちゃんから話を聞く限り、複雑な家庭環境が原因でグレてしまったそうだ。
やっぱ、子連れで再婚とかすると色々難しいのかなあ。
パパスが「新しいお母さんを紹介しよう」
とかなんとか言ってきたら、主人公もグレたりするのかなあ。
とか色々考えていたら、ヘンリー王子が誘拐されてしまった。
救出のため、主人公たちはラインハット東の洞窟へと向かうことになる。
救出に向かう前に、お城や城下の街並みを時間をかけてゆっくりと回った。
やはりラインハットは王国というだけあって、商業も活発なのだろうか。
お店の棚に並ぶ、強そうな武器や防具を眺めながら、
唯一の仲間であるゲレゲレに何を買ってやろうかなと悩んだ。
実は少し、ここからゲームを進めるのを躊躇った。
ドラクエ5のストーリーはほとんど忘れているけど、
この次の場面だけは鮮明に覚えていたから。
でも進めなくちゃ、始まらない。
主人公達が教会でお祈りをしている間、僕は近所のコンビニで晩御飯を買ってくる。
ここからは気合い入れて進めないといけないから。
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