仕事帰りのバイキルト。


仕事帰りのバイキルト

そんなわけで仕事中にも関わらずドラクエ5で頭がいっぱいになった僕は、
会社の残業を適当に切り上げ、閉店間際の新宿東口ヨドバシカメラに滑り込んだ。

最初は中古ソフトで買おうかなあと思ったが、新品も既にベスト版価格になっているし、
中古の値段とそうそう変わらない。
やっぱりゲームメーカーには儲けて欲しいので、微力ではあるが新品で買うことにした。

まあ、自己満足ってやつです。

ゲームを買う瞬間はいくつになってもワクワクしてしまう。
社会人となり、学生の頃よりは気軽に買えるようになったけど、未だに不思議な高揚感がある。

この感じはなんと言ったら伝わるだろう。
ドラクエで言えば、味方からバイキルトをかけてもらった時に似てるかもしれない。
決してスカラやスクルトではない。
この気持ちはバイキルトが一番適当だ。
いや、実際にバイキルトしてもらったことないんだけどさ。

足早に山手線に乗り込み家路を急いだ。
相変わらず新宿駅は混雑していて、この有象無象の人々はどこから沸いてくるのかと思う。
とか言いつつも、僕もその有象無象の一人なわけで、偉そうなことは言えないか。

その日は雨が降っていて、もう四月も半ばなのに肌寒い。
何を着れば良いのか、よくわからない季節である。
早く暖かくなって、春が来ればいいのになあと思う。

近所のスーパーで缶ビールと半額になったお弁当を買った。
これぞ、正しい男の一人暮らしの晩飯である。
時間がある日は自炊をするけれど、今日は手元にドラクエ5がある。
当然、明日も会社だ。自炊する時間があったら、一刻も早く、ドラクエ5の封を開けたい。

ようやく、部屋に着く。
例のバイキルト効果によって、飯と風呂の時間は普段の半分に短縮された。
ワシャワシャとドライヤーで髪を乾かしながらソフトを開封し説明書を流し読む。

特にレビュー等をチェックせず、衝動的に購入したが色々追加要素があるようだ。
特にすごろく?が気になった。昔、スーファミで遊んだドラクエ3にも、似たようなのがあったな。
早く遊びたいなあ。

一呼吸ついたのち、僕は静かにDS のスイッチを入れた。
いくつかのロゴが表示された後、聞きなれたオープニング曲が流れてくる。

「パーパパーパーパーパーパッパーン♪」

この曲を聴いただけでテンションが上がる。
とりあえず初回なので、ダラダラとビールを飲みながらオープニング画面を眺めた。
すっかり酒飲みのオッサンになったけど、やることは相変わらずドラクエ。

たぶん、僕は10年後もこうしてゲームをしているんだろうな。
そうであったらいいな。

結婚を機にドラクエ5を再プレイしてみた 目次へ

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洋菓子

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本職はゲームライター。お仕事とは別に、個人の趣味でゲームの話題に触れていくブログ「その日草子」を運営中。大作RPGから格ゲー、ギャルゲーまでジャンルを問わないアラサー♂。けどホラーだけは苦手。お気に召した記事やお役に立てた記事があればシェア頂けると喜びます(・ω・)
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