【思い出ピコピコ】モンスターハンター

 

PSPや3DSですっかり定番ソフトとなった「モンスターハンター」。
その記念すべき第一作が出たのは2004年のことである。

初代は農場もないし、ハチミツも店売りしないしで色々大変だった。
こんがり肉を焼くためだけによっこらせと素材クエを受けたりもした。
面倒臭かったけれど、そんな不便さにも不思議な生活感を感じたのは僕だけだろうか。

「モンスターハンター」を遊ぶ時、我々はハンターになるのだ。そこには「便利」なんて都合の良いものは存在しないのである。

腹が減ったら大きな草食竜を倒して現地で肉を焼きましょう。
ハチミツが欲しけりゃ森に行って、自分の足で採取しましょう。
単なる手間となる作業も、なんだか「生きる」という本能に直結してる気がして楽しかった。

 

このゲームではシリーズ作を含めて何度も「うおっっしゃあああ! 倒したあああああ!!」って叫んだけれど一際声高々に叫んだのはやっぱり我らが師匠、イャンクック戦である。

もはや説明不要かもしれないが、イャンクックとは「モンスターハンター」において一番最初にプレイヤーに立ちはだかる大型モンスターである。ハンターの基本を教えてくれる最初の壁であり、ハンターからは「クック先生」として慕われている存在だ。全てのハンターはクック先生の強さに一度は心を折られた後に、狩りの基本を学んではクック先生を乗り越えて真のハンターへと成長していくのである。

 

その日、新米ハンターである僕は密林のジャングルにて初めてクック先生と戦っていた。状況は極めて劣勢。既に一度力尽きており、回復アイテムも底を尽きかけていた。とはいえクック先生も苦しいはずだ。既に20分は戦っていたと思う。息を切らせた先生は一旦、大きな翼を広げて上空へ飛んでいった。そして何度かクルクルと旋回した後に別のエリアへと逃げていく。

僕は現地に生えている薬草を採取しながらその後を追った。回復薬が欲しい所だけれど贅沢は言っていられない。ここは密林のジャングル。誰も助けてはくれない。

クック先生は物陰に隠れるようにして眠っていた。先生には悪いが、今が絶好のチャンスである。僕は先生を起こさぬよう、ソロリソロリと忍び寄り先生の頭付近に大型のタル爆弾を仕掛けた。

(・・・頼む、これで倒れてくれ!)
祈りに似た思いを載せて、起爆用の小型爆弾をセット。
そのまま爆発に巻き込まれぬよう、急いでその場を走り去る。

ドガーン!!
その数秒後、大きな爆発音と熱風にクック先生は包まれた。

(やったか!?)

しかしそんな思いはクック先生の耳をつんざく雄叫びに掻き消された。
先生のクチバシから火が溢れ、激しく燃え盛っていた。
やべえ、先生怒ってる。超怒ってる。半端無く怒ってる。

僕も瀕死だがクック先生も相当深手を負っているはずだ。僕は「やるっきゃない」と覚悟を決めると、愛用の片手剣を握りしめてクック先生に斬りかかった。そのまま頭のてっぺんに迷い無く刃を落とす!

―――カーン!

なんだかとても硬い物を叩いた音がした。そして片手剣を振りおろした右手はクック先生の頭に弾かれ、バウンドする様に膨らんでしまう。しまった。切れ味ゲージが・・・。

その隙を見逃すほどクック先生は甘くなかった。
「クエー!」と一鳴きした先生は炎をまとったクチバシをこちらの胸に突き刺してくる。

「ぎゃふん!」
たまらず僕は力尽きた。これで二度目。三回力尽きるとゲームオーバーである。さあ、後が無くなった。

 

再スタート地点となるキャンプ地に運び込まれた僕は、とりあえず手持ちのアイテムを確認する。ゆっくりはしていられない。この間にもクック先生は息を整えて体力を回復しているのだから。

アイテムポーチをゴソゴソとあさる。切れ味ゲージを回復させる砥石はもう残っていなかった。武器は使う度に切れ味ゲージが低下していく。そして一定の値まで低下すると先程弾かれた時のように、まともに攻撃が通らなくなってしまうのである。

さて、参った。残り時間だってそんなに残っていない。けれど切れ味ゲージがなければ攻撃しても弾かれ、多大な隙を晒すだけである。困った。本格的に困った。ヤケクソで川原で石でも拾って投げつけてやろうか。でもなあ、さすがに石ころでクック先生は…。

その時である。ピシャァ!と僕の頭に電流が走った。
そうだ、川原だ…!

 

僕は最後の望みを抱いて川原へと走った。そしてバッとかがみ、その辺の地面を掘り返す。するとウネウネとした生きの良いミミズが取れた。さすがはジャングル。元気の良いミミズだ。

基本的に虫は苦手だけど今の僕はハンターだ。なんの抵抗もなくエイヤッとミミズを掴むと、持っていた釣竿にエサとして付け川原に釣糸を落とした。ミミズの数だってかぎられて限られている。うまく釣れるといいけど…。

やがて釣竿の浮きもがピクピクと動いた。まだだ、ここで慌てたら取り逃がす。慎重に、慎重に。

……チャプン!

浮きもが一際深く沈む。その瞬間を見逃さず僕はコントローラーの○ボタンを押した。

バシャバシャバシャ……バシャア!

魚が釣れた。釣れた魚はキレアジという魚。硬い背びれが特徴で、その背びれは武器を研ぐことが出来るほど硬い。そう、これで切れ味ゲージが回復できるのだ!

「これがラストチャンスだな」

僕は釣ったばかりのキレアジで武器を研ぎながら空を見上げる。鋭さを増した相棒の片手剣はニヤリと笑うように、その刀身に日の光を反射させた。


Albion_Stamford_Viking_Sword_4 / Albion Europe ApS

 

クック先生はまた眠っていた。寝込みを襲うのは気が引けるけど、僕は騎士でもないし、ましてはこれはルールが存在する試合でもない。僕はハンターだ。これは生き残りをかけたハンターとモンスターの、命のやり取りなのだ。

「うおおおおおお!」

気合いを発して僕は走り出す。助走をつけてジャンプし、全体重を片手剣に乗せて先生の頭に斬りかかった。

ザシュッ!

確かな手応えが返ってきた。切れ味ゲージが復活したお陰だ。硬い部位にも刃が通る。いける!クック先生が吠える。臆するな。僕も吠える。雄叫びをあげる。

クック先生が素早くその巨体を回転させる。長い尻尾がムチのようにしなり、僕の後頭部を捉える。衝撃。激痛。負けたくない。その気力だけで立ち上がる。
片手剣で斬る。斬る。斬る。

返り血。先生の雄叫び。ひるむな。斬る。斬る。
また、返り血。構わない。斬る。斬る。斬る!

やがて画面のカットが切り替わり、パパパパーン♪と討伐成功を知らせるファンファーレが流れた。クック先生は最後の咆哮を空に放ったのち、ズシンと地面に倒れ込んだ。その衝撃に僕の魂もズシンと震えた。

「うおっっしゃあああ! 倒したあああああ!!」

魂の震えは絶叫へと生まれ変わり、そのまま木々が生い茂るジャングルに溶けて消えた。
ありがとうクック先生、あなたの教えは決して忘れない。

その後リオレウスとかラオシャンロンとか、クック先生より遥かに強いモンスターと戦ってその度に叫んだけれど、一番思い出深いのはやっぱりクック先生との授業だったと今でも僕は思っている。先生から教わったことは新作が出続けるこれからも生き続けるはずだ。

全てのハンターよ、イャンクック大先生に感謝の気持ちを込めて…礼っ!

 

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